専業主婦の千賀子は退職して自宅にいる夫の真一への不満が募り、仲間と会えば愚痴ばかり。離婚という言葉もどこまでが冗談かわからない。キッチンカーで働く2人の娘が出会った縁で、葬儀屋が開催する「終活フェア」に参加した千賀子は色々と得るものがありさらには人生振り返りムービーを無料で作ってもらえることになる。しかし真一はそれを快く思わず、喧嘩。それもきっかけになったのか、彼女は倒れてしまい……。
夫役に橋爪功、娘に剛力彩芽。葬儀屋のスタッフとして水野勝、松下由樹のほか、西村まさ彦ら共演。
あらすじ
大原真一(橋爪功)の妻・千賀子(高畑淳子)は、定年退職後ずっと自宅にいる真一が原因で在宅ストレス症に陥り、離婚寸前だった。そんな中、二人の娘・亜矢(剛力彩芽)は葬儀社に転職したばかりの菅野(水野勝)と出会い、紹介された終活フェアを母に勧める。終活フェアを訪れた千賀子は人生を整理する大切さを実感するが、真一は終活に否定的だった。
予告動画でもわかる通り、笑いとシリアスのバランスがとても取れていて、同時に「どこの家も同じようなものだな」と共感を呼ぶ作品でした。自分の人生を振り返る、という終活の良い面にスポットを当てているし、暗くなりすぎないのがいい。先にネタバレしちゃうと主人公家族の誰も死にません。
実際ヒットし、続編の公開も控えています。楽しみ。
主人公、と表現しましたが、千賀子目線がメインなのはもちろんのこと、葬儀屋の菅野くんの「新人奮闘記」的な側面もあって良かった。そういう視点でも1本映画にできそう。劇中でも「死のイメージだからどうしても距離を置かれてしまう」というセリフがありましたが、ネガティブなイメージを払拭するようなこういう仕事をしてるんだよって知ることも大切ですよね。
真一は終始古い価値観という感じで出てきますが菅野くんに対して「親御さんは君の職業知ってるの?」「言えないってことは恥ずかしく思ってるんじゃない?」っていう最低の発言しちゃってたり。でもここまでじゃなくても【死の要素で成り立つ商売】って意識は僕らにもありますからね。
急逝しちゃった家族がエンディングノートを作ってくれてたおかげですんなり行ったとか、親が葬儀屋なので言われなき差別を受けたなど、より現実的な部分を描写してくれてました。
コロッケさんが主演の「ゆずりは」も葬儀屋さんを主役にした名作なのでぜひ
菅野くんと父親との関係性もテーマの一つで。ずっとわだかまりを抱えていた彼らが歩み寄れたのも成長を感じて良かった。立派な仕事してるんだな、って親らしい目線で見てくれたところはいいんですが、「再婚するんだ、会ってほしい」って腹を立ててる相手に言えるのがなかなかすごかった。菅野くんが大人だな、という意味での感動です(笑)
本人はおいしいご飯が食べられるし初のメイン担当って全然気がついてるそぶりはないですが、娘亜矢の方が完全に惹かれていて、今後家族になるのかな?程度の匂わせがあるのもいい。すごくいい青年なのは間違いないですしね。
メインの夫婦も、それぞれが仲間内で言いたい放題なのがすごく笑えるし、円満にいってるところのコツを試そうとしたらことごとく裏目に出たのがベタだけど面白かった。すでに触れましたがほんと真一の昭和の親父ってのは見てるこっちまでイライラしてきますね。それでいて家のことやったことないから全然ダメ。宅配がサインでもいいのを知らないのとか。だからこそ倒れたことでありがたみがわかったし、そこで改心する。
主要キャラの代わりに(?)なくなってしまった親戚のエピソードも残りの人生を大事にするきっかけに繋がるし、同時に熊本の復興とおりまぜながら「それでも前を向いて行きていく」ってポジティブな方向にしてくのも、終活そのもののイメージが変わりました。
その終活のお話が金婚式につながり、とても明るい雰囲気でエンディングに向かっていくのいい。よく笑顔の多いお葬式はいい的なことも言われますが、友人知人が思い出を振り返りながら笑いあう。これも終活ですよね。
伏線として貼られていた「英語のメール」もサクッとネタバラシされるし、ストレスたまらずに良かったです。最後はみんな爽やかに終われる。
両親の馴れ初めと菅野くんの出会いが完全に一致してるのが笑えました。
振り返りの関係で過去の写真が出るのですが、高畑さん橋爪さんの実際の若い頃の合成かと思ってたら回想シーンまであって。すごいそっくりな女優さん連れてきたなぁと。菊原結里さん。鼻筋が特に似ていました。ちなみにその後本当の若い頃をググってみたら、息子さんの顔にそっくりでした。
悲しくならずに見られる作品なので、ぜひ。
WOWOWにて録画、Paraviで視聴。
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